スイス・アルプスのリゾート地アロサに佇む「Tschuggen Grand Hotel」。マウンテンロフトと呼ばれる客室棟の窓には、スライディングシャッターとしてアコヤグレーが採用されています。

標高1,800mを超える過酷な山岳環境。雪や強い日射にさらされる外装部でも、アコヤグレーは優れた寸法安定性と耐候性によって、その真価を発揮します。

建物全体は、石・金属・ガラスなど異なる素材を巧みに組み合わせた構成です。その中でアコヤグレーは、木材ならではの温もりと柔らかさを添えています。内部まで染色された穏やかなグレーの色調が、周囲の自然環境や他素材の質感と響き合い、静かな統一感をもたらしているのも印象的です。

この可動シャッターには、合計12kmにもおよぶスラットが使用されています。塗装を施すことなく、長期間にわたって色と質感を保ち続けるのです。厳しい自然条件のもとでも、美観とメンテナンス性を高い水準で両立させるアコヤグレー。木質外装の新しい可能性を示す好例といえるでしょう。

　物件：　Tschuggen Grand Hotel

　設計：　Tilla Theus and Partner AG

　住所：　スイス、アロサ

　撮影：　© NADINE KÄGI