WOODWISEー「木だったらいいな」をカタチにー


木材表面処理剤

色を足さずに、
木の表情を長く保つ
屋外木材用の表面処理剤

木材を屋外で無塗装のまま使うと、短期間で変色が始まります。

変色を抑えるためには、着色木材保護塗料あるいは無色透明の塗料を使用できますが、いずれの場合も塗装感が残ります。

無塗装仕上げの経年変化を受け入れるか、塗装を受け入れるか。CerPlus® P105 の考え方は、この二択の外にあります。

CerPlus® P105は、顔料を含まないため、色は付きません。塗膜もつくりません。木材の表層に浸透した酸化セリウムのナノ粒子が紫外線を吸収するとともに、材面を疎水化し、撥水性を与え、木材の経年変化をゆるやかにします。

木の色を活かしたいほど、紫外線対策は難しくなる

紫外線から木材を最も効果的に守るのは、塗料に含まれる顔料です。同じ塗料でも濃色のほうが紫外線への耐性が高く、色が薄いほど抵抗が弱くなることは、実務でもよく知られています。木目を見せたくてクリアや淡色を選び、思っていたより早く色が変わってしまった。そうした経験をお持ちの方も少なくはないのでしょうか。

顔料のほかに、紫外線の影響を抑えるための成分が配合された塗料も多くあります。ただし、その効果は塗膜の健全性に左右されます。塗膜が保たれなくなったところでは剥離や退色が進む一方、健全な部分では保護が続きます。塗り替えの判断を難しくするのは、この差が斑となって現れることです。

CerPlus® P105 の特性

  • 顔料を含まず、色を付けない

    顔料は含まれていません。木目と質感が残ります。

  • 塗膜をつくらない

    ナノ粒子が木材の表層に浸透し、木材分子の反応部位に結合します。膜がないため、剥離・膨れ・端部のめくれが起こりません。

  • 紫外線を吸収し、褪色とグレー化を抑える

    酸化セリウムのナノ粒子が UVA・UVB・UVC 領域の紫外線を吸収し、木材の外観が変化していく速度をゆるやかにします。

  • 材面を疎水化し、水の浸入を抑える

    ナノ粒子が木材表面の反応部位に結合し、水と結びつく場所をふさぎます。雨水などが木材表面から急速に浸入するのを抑えます。

  • 殺生物剤を使わずに、黒ずみを抑える

    防カビ剤などの殺生物性成分を使わず、材面への水分の浸入を抑えることで、黒カビなど水分に依存する微生物が生育しにくい環境をつくります。

  • 樹種がもつ色を、より深く

    一部の木材では、塗布によって木材本来の自然な色がより深く、豊かな色調になります。これは木材に含まれる成分自体の色調に生じる変化で、成分は樹種によって異なります。

  • 刷毛・ローラーで、基本1回塗り

    希釈せず、原液のまま塗布します。特別な設備は必要ありません。乾燥した無塗装の木地であれば、新材にも、表面を再生した木材にも使用できます。

  • 洗浄と再塗布で、再処理できる

    表面がグレー方向へ変化した場合は、水または中性洗剤で洗浄し、十分に乾燥させたうえで再塗布します。塗膜がないため、旧塗膜を剥がす作業は必要ありません。

酸化セリウムとは

セリウムは希土類元素のひとつです。その酸化物である酸化セリウムには、紫外線を吸収する性質があります。

グラフは、酸化セリウムナノ粒子の水分散液が、どの波長の光をどれだけ吸収するかを示したものです。左半分の紫外線はよく吸収し、400 nm から右の目に見える光はほとんど吸収しません。

目に見える光を吸収しないということは、酸化セリウムは紫外線を止めながら、色がつかないということです。

紫外線を防ぐ成分には、例えば、日焼け止めにも使われる酸化チタンや酸化亜鉛があります。ただし、これらは目に見える光を散乱させ、日焼け止めを塗った箇所が白っぽく見えます。

また、セリウムは無機化合物ですが、紫外線吸収剤には有機化合物のものも多くあります。有機化合物は炭素でできた骨格をもち、紫外線を吸収するにしたがいこの骨格が壊れていきます。酸化セリウムにはその骨格がないため、紫外線を吸収し続けても消費されないと考えられています。

酸化セリウムナノ粒子水分散液(0.1 g/L)の吸光度。UVC・UVB・UVA を吸収し、400 nm を超える可視光域ではほとんど吸収がありません。
ENERGENICS EUROPE LTD. 資料。

木材の中で、どう働くか

画像は、CerPlus® P105 を塗布した木材の試験体を、走査型電子顕微鏡を使用して斜め上から撮ったものです。この像では、酸化セリウムを青色で示しています。

試験体の表面は青く、塗布した全面にセリウムがあることが分かります。試験体の断面が見える下方では、表層の細胞の内腔に酸化セリウムが入っていることがわかります。

上:塗布面(表面)

下:切断面(断面)

青=セリウム

CerPlus® P105 で処理したラジアータパインの SEM-EDS 像。青がセリウム。
上半分が塗布面、下半分が断面。
ENERGENICS EUROPE LTD. 資料。

屋外暴露試験

CerPlus® P105 は、アコヤ材、ベイスギ、欧州カラマツ、欧州赤松など、複数の針葉樹で屋外暴露試験や実使用での評価が行われています。

ベイスギの屋外暴露試験では、未処理材は6ヶ月の時点で材色がグレー方向へ変化し、18ヶ月では材面の荒れも進みます。CerPlus® P105 処理材では、18ヶ月後も褐色系の外観がより多く残ります。

変化をゆるやかにする働きは樹種を問わず共通ですが、塗布したときの色の出方は樹種によって異なります。

ベイスギ

未処理材

  • 0ヶ月
  • 6ヶ月
  • 12ヶ月
  • 18ヶ月

CerPlus® P105 処理

  • 0ヶ月
  • 6ヶ月
  • 12ヶ月
  • 18ヶ月

ENERGENICS EUROPE LTD. による屋外暴露試験。

欧州赤松

未処理材

  • 0ヶ月
  • 6ヶ月
  • 12ヶ月
  • 18ヶ月

CerPlus® P105 処理

  • 0ヶ月
  • 6ヶ月
  • 12ヶ月
  • 18ヶ月

ENERGENICS EUROPE LTD. による屋外暴露試験。

実使用例|Nine Elms Park, London

ロンドンの Nine Elms Park に設置された、無塗装のアコヤ材製ベンチです。2022年5月に設置され、約1年の屋外使用を経て、2023年6月に表面をクリーニングしたうえで CerPlus® P105 を塗布しました。その後も公共広場として一般の利用が続き、2026年6月、塗布後36ヶ月経過の時点でも、木目の見える明るい木材の外観が確認されています。

  • ベンチ設置1年経過:クリーニング前(2023年6月)

  • クリーニングし、CerPlus® P105 塗布後36ヶ月経過(2026年6月)

左右は同一時点の比較ではありません。左は無塗装のまま約12ヶ月屋外使用した状態(2023年6月・クリーニング前)、右はクリーニングおよび CerPlus® P105 塗布後36ヶ月経過の状態(2026年6月)です。

木がもつ色を、より深く、豊かに

CerPlus® P105 に顔料は含まれていません。それでも、一部の木材では塗布によって色が深まります。これは上から色を乗せているのではなく、木材が元から持っている成分の色が変わるためです。

木材にはリグニンのほか、タンニンやフラボノイドといったポリフェノール類が抽出成分として含まれます。CerPlus® P105 のナノ粒子は、これらの分子に結合します。撥水性が生まれるのと同じ結合です。金属とポリフェノールが結びつくと、もとの成分とは光の吸収の仕方が変わり、色が濃く見えるようになります。タンニンと鉄が結びついて黒くなるタンニン鉄(お歯黒、柿渋の鉄媒染)と、同じ種類の現象です。

反応する相手が木材に含まれる抽出成分ですので、その量と種類が違えば、結果も違います。抽出成分の多い濃色材ほど深まりがはっきり出て、抽出成分の少ない淡色材では変化はごくわずかにとどまります。この性質は長所であると同時に、色調の確認のために、施工前に試験塗布が必要な理由でもあります。

どの樹種に使えるか

使用実績があるもの

ベイスギ、欧州カラマツ、欧州赤松、ラジアータパイン、アコヤ材などに使用されています。特に、アコヤ材については、世界10か所に同一の試験架台を設置した比較試験が行われ、アコヤへの適正が評価され、CerPlus® P シリーズはアコヤ材のメーカーからAccoya System Partner 製品に登録されています。

これから検証するもの

現時点では国内での実績はありません。木材の抽出成分は樹種によって異なり、浸透の仕方も色の出方も変わります。ヒノキやスギでの検証はこれか行う予定です。

使用部位と、効果の出方

屋外の木部に広く使えます。部位によって、効果の持続には差が出ます。

用途

  • 外壁(板張り・羽目板)
  • ルーバー・スクリーン・面格子
  • 軒天・化粧梁・門扉・フェンス
  • 屋外家具・造作物

垂直面と水平面

垂直面のほうが、効果は長持ちします。水が流れ落ち、材面が濡れている時間が短いためです。これは CerPlus® P105 に限らず、無塗装・塗装・各種表面処理を問わず、屋外で使う木材に共通する原則です。

歩行のある床面

デッキなどの歩行面では、歩行量に応じて木材の表層が摩耗します。CerPlus® P105 が働くのは木材の表層であるため、摩耗が進むと効果は低下しやすくなります。歩行量の多い商業施設と、住宅のバルコニーとでは条件が大きく異なります。

施工・基本仕様

乾燥した無塗装の木地に、希釈せず原液のまま、刷毛またはローラーで均一に塗布します。
新材のほか、表面を再生した木材にも使用できます。

  • 塗布方法:刷毛またはローラー
  • 塗り回数:基本1回塗り
  • 塗布面積の目安:5〜10 m²/L(樹種・表面仕上げ・吸込みにより異なります)
  • 上塗り:十分に乾燥後、一般的な木材用塗料の上塗りが可能です

樹種によって色の出方が異なるため、全面施工の前に、目立たない部分または試験片で色調をご確認ください。取扱い上の注意、保護具、保管・廃棄については、取扱説明書および SDS をご確認ください。

メンテナンス・再処理

屋外で長く使えば、CerPlus® P105 を塗布した木材も徐々に色調は変化します。表面がグレー方向へ変化した場合は、水または中性洗剤で洗浄して汚れを落とし、十分に乾燥させたうえで再塗布します。塗膜を剥がす作業(ケレン)は不要です。

よくあるご質問

Q. 経年変化を止められますか。
A. いいえ。変化を止めるものではなく、その速度をゆるやかにするものです。
Q. 防腐・防蟻の効果はありますか。
A. ありません。木材表面の外観を保つための処理剤です。木材そのものの耐久性は、材の選定で確保してください。
Q. 撥水性があれば、雨がかりの設計配慮は不要ですか。
A. 撥水性は防水性能ではありません。材面での水の挙動を変えるものであり、雨仕舞い・通気・木口の保護といった設計上の配慮を代替するものではありません。
Q. 色は変わりますか。
A. 顔料は含まれていません。ただし一部の樹種では、木材本来の色がより深く出ます。
Q. スギやヒノキに使えますか。
A. 国内針葉樹での検証は、これから行うところです。現時点で結果も実績もありません。ご検討中の樹種がありましたら、試験塗布からご相談ください。
Q. 一般的な木材保護塗料との違いは何ですか。
A. 木材保護塗料は顔料によって紫外線を遮り、表面に塗膜を形成するものが多くあります。CerPlus® P105 は顔料を含まず、塗膜も形成しません。塗り回数は基本1回で、再塗装時に旧塗膜を剥がす作業も不要です。一方、着色の自由度は木材保護塗料のほうが高くなります。
Q. 日本国内での使用実績はありますか。
A. 現時点ではありません。掲載している試験結果と実使用例は、いずれも欧州のものです。国内での暴露試験は当社で実施しています。

CerPlus® の生い立ち

CerPlus® は、英国の ENERGENICS EUROPE LTD. が開発した製品です。同社はオックスフォード大学のナノテクノロジー・スピンアウトとして設立され、現在も同大学の Begbroke Science Park に所在する特殊化学品メーカーです。酸化セリウムナノ粒子の分散液を専門としています。

木材用のクリア塗料では、従来から有機系の紫外線吸収剤が使われてきました。しかしこれらは屋外暴露のなかで自身が分解していくため、効果が長続きしません。無機ナノ粒子による水系のクリア塗装系をつくることは、EU の研究枠組み FP7 のプロジェクト「WOODLIFE」で掲げられていた課題でした。ENERGENICS社は同プロジェクトおよび Innovate UK の「SENCoat」等に参加し、そこでの成果と自社研究をもとに、木材用の紫外線吸収技術を開発しています。

CerPlus® P シリーズは、アコヤ材への使用が承認され、Accoya System Partner に登録されています。

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